生命保険にはいくつか種類があります。終身保険に満期はありませんが、満期のある『養老保険』には『満期保険金』がもらえるという特徴があります。保険料や保障内容、満期保険金にかかる税金など、養老保険のメリットとデメリットについて解説します。
生命保険の種類
生命保険には大きく分けて『終身保険』・『定期保険』・『養老保険』という3つの種類があり、それぞれ保険の内容が異なります。
終身保険
『終身保険』は一生保障が続くタイプの生命保険になります。一定の年齢まで保険料を支払う必要がありますが、保険料を払い終わってから亡くなった場合でも、保険金がおりるという点が他の保険にはない特徴です。
終身保険の主な特徴は以下の通りです。
- 保険料を払い終わっても保障が一生続く
- 満期はなく、加入期間が長いほど解約返戻金は高額になる
- 解約返戻金(※)がないタイプもある
(※解約返戻金とは保険の契約期間満了前に途中で解約した際にもらえるお金です。)
定期保険
『定期保険』は、あらかじめ保険の対象となる期間が何歳までと決まっており、その期間まで保険料を払い続けることで保障が続くタイプの生命保険です。
定期保険の主な特徴は以下の通りです。
- 保障される期間が決まっており、その期間まで保険料を支払う
- 満期保険金はなく、解約返戻金もごくわずか
- 保険料が安い
養老保険
『養老保険』は保険の対象となる期間が決まっており、契約満了時に生存していた場合には、死亡した際にもらえる保険金と同等の金額を受け取ることができます。
養老保険の主な特徴は以下の通りです。
- 満期が決まっており、その期間まで保険料を支払う
- 満期保険金があり、死亡した際の保険金と同額が生きていた場合に支払われる
- 解約返戻金は保険料を払い続けた期間が長いほど高くなる
- 保険料は高め
今回は、この『養老保険』について詳しく解説していきます。
養老保険の特徴
『養老保険』は月々の保険料が高い分、契約期間を満了するまで生きていれば高額なお金を受け取れるなど、死亡保障以外にもメリットが大きい生命保険です。
満期になったら満期保険金が受け取れる
養老保険が契約期間満了になった際に、保険をかけていた本人が生きていれば、死亡の際に受け取れるお金と同じ金額を受け取ることができます。
・被保険者が満期日以前に死亡した場合
…保険金受取人が「死亡保険金」を受け取る
・被保険者が満期日の時点で生存している場合
…満期金受取人が「生存給付金」を満期保険金として受け取るなお、死亡保険金と生存給付金(満期保険金)は、同額です。
保険料は高いですが、『払い損がない』というのが養老保険の優れた点です。
満期前の解約では解約返戻金がもらえる
養老保険を契約期間満了前に解約すると、保険料の支払期間に応じて返戻金を受け取ることができます。
もし、保険の契約期間の満了前に病気などで急にお金が必要になった時でも、払い込み期間が長ければ返戻金も高くなるので、万が一の蓄えとしても使える便利な保険です。
しかし、加入してから日が浅いと、戻ってくるお金が少ない場合があります。解約する際は保険会社に確認してからおこなうと、後悔することはないでしょう。
また、解約してしまうと一切の保障がなくなってしまうので、注意してください。
満期後は死亡保障がなくなる
満期をむかえると、養老保険の契約は全て終了します。
ここで、注意しなければいけないのは養老保険に疾病などの『特約』(※)をつけていた場合です。
契約満了にはこの『特約』も含まれるため、医療保険代わりに特約をつけて養老保険を利用していると、保険の対象となる期間までしか機能しません。
ですから、医療保険は別に加入しておき、特約をつけるのであれば、終身保険に加入した方が、病気になった時に確実にお金を受け取ることができます。
(※保険にプラスすることで、他の病気を安くカバーできるオプションプラン)
個人年金保険との違い
老後の貯えとして加入することの多い『個人年金保険』と、満期保険金がもらえる『養老保険』の大きな違いは、契約期間満了前に亡くなってしまった場合です。
個人年金保険では、保険料の支払期間によって受け取れる金額が変わります。しかし、養老保険の場合、払い込んだ金額に関わらず、契約時に決定した金額を受け取ることが可能です。
その他にも以下のように色々な違いがあります。
養老保険 | 個人年金保険 | |
健康状態の告知 | 必要あり | 保険により必要なし |
死亡保障 | あり | なし |
税金の控除 | 生命保険控除 | 生命保険控除/個人年金保険控除(一部条件有) |
税金の控除ですが、個人年金保険料控除を受けるには以下の条件を満たさなければいけません。
・年金受取人が契約者か、またはその配偶者であること
・年金受取人が被保険者と同一人であること
・保険料の払込期間が10年以上であること
・確定年金・有期年金の場合、年金受取開始が60歳以降であること、かつ受取期間が10年以上であること
個人年金保険の方が税金控除の面で、一部有利な面もありますが、万が一亡くなった時のことを考えると、養老保険の方がカバーできる範囲は大きいです。
満期保険金に税金はかかるのか
養老保険が契約期間を満了した際に支払われるお金には、税金がかかるケースがあります。ただ、すべてが課税の対象というわけではなく、控除される部分もあるため、計算する必要があります。
受取人本人が保険料を払っていた場合と、他の人が保険料を支払っていた場合に分けて解説したいと思います。
所得税もしくは贈与税の対象に
保険料を支払っていたのが、受取人本人だった場合、満期保険金は『一時所得』となり、課税の対象となるケースがあります。
実際に課税の対象となるのか調べてみましょう。
(『満期保険金』-『支払った保険料総額』-『一時所得の特別控除額(50万円)』)×1/2
もし、満期保険金が1,000万円で、今まで支払った保険料の総額が900万円だった場合には次のようになります。
(1,000万円-900万円-50万円)×1/2=25万円
この場合には、25万円に税金がかかるのです。
次に、保険金の受取人とは別の人が、保険料を支払っていた場合です。この場合、受取人が満期保険金を受け取ることで『贈与税』の対象となります。
贈与税は子供が受け取るのか、妻が受け取るのかによっても、課税対象となる金額が変わります。
計算はかなり複雑になるので、税務署や税理士さんに相談して、正しく税金を納めてください。
まとめ
終身保険は一生保障の対象期間となり、途中で解約した場合には解約返戻金を受け取ることができます。
対して、養老保険は契約期間を満了すると多額の保険金がもらえますが、満期以降は保障が一切なくなることに注意しましょう。