葬儀に参列した経験のない人や、香典返しを初めて受け取った人は、どのように対応すれば、相手に対して失礼が無いかと迷う人も多くいます。この記事では、香典返しの送り方や、受け取った場合の連絡の仕方など、マナーについて詳しく解説します。
香典返しの意味
『通夜』や『告別式』の参列者から、故人への弔意をあらわし、遺族に対して渡されるのが『香典』です。香典に対するお返しである『香典返し』とはどのような意味があるのでしょうか?
お返しを送る意味と、お返しの有無について説明します。
弔事を終えたことのお知らせと御礼
『香典返し』とは、葬儀の参列者から故人・遺族に贈られた香典やお供物に対してお礼をする『お礼の品』や『挨拶状』のことです。
参列してくれたこと、香典をいただいたことに対するお礼の気持ちと、滞りなく弔事を終えたことを知らせるという意味が含まれています。
基本的には香典をいただいたら、香典返しを行いますが、下記の場合には香典返しを行わないことがあります。
- 葬儀で香典辞退をした場合
- 一家の主である働き手が亡くなって、扶養する子供が小さい場合
- 香典を寄付した場合
葬儀で香典を辞退した場合には、香典返しを送りません。また、一家の主である働き手が亡くなってしまった場合には、いただいた香典は養育費に充当させるため香典返しを行いません。
そのほかにも、香典を社会福祉施設や個人の遺言によってどこかに寄付をした場合にも香典返しを送る必要はありません。
香典返しを送らない場合には、お礼状に香典の用途を明記して送るようにしましょう。
香典返しを送る時期
『香典返し』を送る時期については、一般的には忌が明けた四十九日の法要を終えた後に送ります。最近では、『当日香典返し』という、葬儀に参列した方に会葬礼状とともに香典返しを行う方法もあります。
しかし、この場合には高額の香典を包まれた方には、後日(四十九日の法要後)改めて、頂いた香典に相応した香典返しを送る必要があります。
香典返しの送り方
香典返しには、お茶・石鹸・海苔などの消費できるもの、もしくはタオルやハンカチなどの実用的なものがよいとされており、これらをお礼状とともに送ります。
品物を選ぶ際、金額は『香典の半額から3分の1程度』を目安にします。
お礼状を添えて送るのがマナー
香典返しを送る際には、お礼状を添えて送るのがマナーです。無事に四十九日法要を終えた報告と、葬儀に参列をしていただいたこと・香典をいただいたことについてのお礼を述べます。
ここでは、初めての人にもわかりやすく、お礼状の送り方について解説します。
封筒の選び方
お礼状の封筒の選び方は、白無地のものを選びましょう。用紙は主に便箋または、はがきサイズのカードに文面を印刷し、封筒の表面には濃黒の文字で『挨拶状』と印刷します。
弔事に使うので、薄墨なのでは?と思う人も多くいますが、お礼状は四十九日を過ぎて忌が明けてから送るものなので濃黒を使用します。薄墨を使用するのは四十九日前(忌中)までです。
自分で印刷できる?
お礼状は、自分で印刷して送ることができます。自分で印刷したほうがコストを抑えられるというケースや、自分の気に入った用紙・封筒を選べるという点もメリットです。
最近ではお礼の手紙の文例などもインターネットなどで簡単に検索することもできるため、お礼状の文面を考えるのも手軽になっています。
ただし、大量の手紙を印刷するとなるとインク代などのコストがかかるため、たくさんの人にお礼状を送る際には、定型文を使用して印刷業者や、香典返しを購入するお店で行う無料印刷サービスを利用する人もいます。
お礼の手紙の文例
お礼の手紙を初めて書く人は、何をかけばよいのかわからないという悩みが出てきます。まずはお礼の手紙の文例を参考にしてみてください。
拝啓
先般 亡父 ◯◯◯◯儀 葬儀に際しましては
ご多忙中にもかかわらずご会葬を賜り且つご鄭重なる御厚志を賜り有難く厚くお礼申し上げます
葬儀の際は万事行き届かぬ点ばかり多く申し訳なく存じております
お蔭をもちまして◯月◯日に四十九日の法要を滞りなく済ませることができました
つきましては供養のしるしに心ばかりの品をお送りいたします 何卒ご受納賜りたくお願い申し上げます
茲に生前のご厚情に感謝申し上げますとともに、今後も変わらぬご指導ご厚誼を賜りますようお願い申し上げます
本来であれば拝眉の上お礼申し上げるべきところ略儀ながら書中を持ちましてお礼かたがたご挨拶申し上げます
敬具
令和◯◯年◯◯月◯◯日
〒□□□−□□□□□ □□市□□□町□−□−□
喪主 見本太朗
親族一同
香典返しのお礼状を書く際には、下記の点に注意しながら書きましょう。
- 文中に句読点は入れない
- 季節の挨拶文は入れない
- 頭語と結語の両方を入れるか、もしくはどちらも入れない
- 「重ね重ね」などの繰り返し言葉を使用しない
香典返しを受け取ったらどうする?
初めて香典返しを受け取った場合、どうすれば相手に失礼のない対応になるのかわからないという人が多くいます。
香典返しを受け取ったら、受け取ったということを先方に知らせるようにしましょう。
香典返しが届いた際にお礼をすべきか
香典返しが届いた際には、お礼は不要です。香典返しは、あくまでも香典に対してのお礼なので、お礼の品物・手紙を送ることによって、お礼を繰り返すことになってしまいます。
繰り返しがよくないとされる不祝儀では、特に注意しましょう。
香典返しを受け取ったことを伝えるには?
香典返しを受け取ったことを先方に伝えるためには、いくつかの方法があります。遺族や故人との関係性によっても方法が変わってきます。
ここでは、香典返しを受け取ったことを伝える3つの方法を紹介します。
受け取った事をメールで伝える
香典返しを受け取ったことをメールで知らせる方法は、最も簡略な方法です。そのため、故人・遺族ととても親しい関係である場合にのみ、香典返しを受け取ったことをメールで伝えても良いでしょう。
メールは、相手が好きな時に確認できるという点でとても便利なように見えますが、正式な連絡方法ではありません。そのため、特に近い間柄だけにとどめておきましょう。
受け取った事を電話で伝える
香典返しを受け取ったことを電話で伝える方法は、手紙よりも簡略・メールよりは正式という中間の方法です。友人や親戚などから香典返しを受け取った際には、電話で連絡をするのも構いません。
しかし、忌が明けてやっと落ち着いたところに電話をかける場合には、相手に迷惑にならないように長電話は避け、お見舞いの挨拶・香典が届いたことを知らせる程度にします。
どんな言葉で伝えればいいか
電話で話をしていると、つい『ありがとう』という言葉で香典返しのお礼を伝えてしまう可能性があります。香典返しはお礼をしてはいけないので、ありがとうではなく『ご丁寧に恐れ入ります』や『お心遣い頂戴いたしました』という言葉を使います。
受け取った事をはがきや手紙で伝える
香典返しを受け取った事を、はがきや手紙で伝える方法が最も正式な連絡方法です。目上の人や直接面識のない遺族に対しては、電話やメールではなく、必ず手紙やはがきで届いたことを知らせるようにします。
もちろん、友人や親戚という近い間柄でも、手紙やはがきで知らせるのが正式な方法です。
手紙やはがきを送る際には、香典が届いたこと(お礼はNG)をお知らせして、そのあとは相手を気遣う文面にします。
手紙でもはがきでもどちらでも構いませんが、一般的には手紙の方が正式とされています。そのため、目上の人や年配の人に対しては手紙を送るとよいでしょう。
まとめ
香典に対してお礼の品として送られる香典返しは、四十九日法要を終えて忌が明けてから送るのが一般的です。送る際には無事に葬儀を終えたことについての報告と香典のお礼を述べたお礼状を添えて送りましょう。
また香典返しを受け取ったら、お礼は不要ですが受け取った事を知らせるために手紙やはがきを送ります。メールや電話は特に親しい間柄だけにしておきましょう。