身内などが亡くなった時、葬儀で喪主になる場合があります。その時に必要となるのが、遺族代表としての挨拶です。慌てずに、故人や他の遺族に恥ずかしい思いをさせないような挨拶とはどのようなものになるのでしょうか。
告別式の流れを解説
喪主としての挨拶は、告別式の間に何度も必要です。ですが、告別式の流れの中で、挨拶のタイミングや内容はだいたい決まっており、とりたてて難しく考える必要はありません。
告別式の流れを見ながら、必要なポイントを解説していきましょう。ここでは仏教のオーソドックスな告別式を例として取りあげます。
告別式の中で挨拶が必要な場面とは?
まずは、ご僧侶への挨拶です。一般参列者が来る前に済ませます。
次に、受付での挨拶です。参列者に簡単な挨拶をします。ここでは「本日はお忙しい中ありがとうございます」、あるいは「故人も喜んでいることと思います」など、参列者からの挨拶に返す程度で構いません。
葬儀・告別式が始まり、読経の中で参列者の焼香があります。着席したまま、焼香をする方たちに黙礼をします。
告別式が終わると出棺です。ここで喪主から参列者に対し、正式な挨拶をします。
その後火葬、精進落しの会食と進みます。会食の前に喪主から挨拶をし、ご僧侶がお帰りの際にも挨拶をして、お布施をお渡しします。
告別式の場面ごとの挨拶の例文
一番重要となる挨拶は、出棺の時の挨拶です。故人と喪主の関係により、内容が変わってきます。また、故人が急逝した場合にはその説明なども必要になるでしょう。ここでは、代表的な挨拶の例文を紹介します。
喪主が妻の時の例文
山田太郎の妻の花子でございます。
本日はお忙しい中、夫・山田太郎の葬儀、告別式にお集まりいただきまして、ありがとうございました。夫は5月11日の夜中に肺炎のため、息を引き取りました。享年84歳でございました。
働くことが好きだった夫は、定年後もマンションの組合に参加し、住民の方たちと触れ合うのを楽しみにしておりました。
本日は、皆様にお見送りいただき、夫もきっと喜んでいると思います。夫に代わりまして、心よりお礼を申し上げます。
皆様には、これからも変わらないご厚情をお願いいたしまして、ご挨拶とさせていただきます。本日は本当にありがとうございました。
喪主が夫の時の例文
本日は雪の中、妻・花子の葬儀、告別式にご参列いただきまして、ありがとうございました。妻は1月18日に胃がんのため、息を引き取りました。享年86歳でございました。
いつも明るい妻は、病を患ってからも、常に笑顔を絶やさず家族のことを気にかけてくれておりました。
最後まで妻には迷惑ばかりかけてしまいましたが、ずっと笑っていてくれたことに救われる気持ちでおります。
また、皆様からの御見舞には、妻のみならず、私たち家族もとても励まされました。妻に代わりまして、心よりお礼申し上げます。
皆様には、これからも変わらないご厚情をお願いいたしまして、ご挨拶とさせていただきます。本日は足元の悪い中、ありがとうございました。
喪主が子の時の例文
本日はお忙しいところ、父・山田太郎の葬儀、告別式にご参列いただきまして、ありがとうございました。父は7月30日の夕方に老衰のため、他界いたしました。享年96歳でございました。
皆様から心のこもったお別れの挨拶を頂戴し、父もさぞかし喜んでいると思います。父に代わりまして、心よりお礼申し上げます。
今後とも故人同様、ご指導、ご鞭撻いただけますことをお願い申し上げます。本日は誠にありがとうございました。
故人が急に亡くなった時の例文
本日はお忙しいところ、父・山田太郎の葬儀、告別式にご参列いただきまして、ありがとうございました。
父はとても働き者で、毎日朝4時に起きて店の支度を始め、夜は深夜まで片付けや仕込みなどをしておりました。それが身体には良くなかったのか、9月25日に心臓発作で意識を失い、病院に着いた時にはすでに息を引き取っておりました。
父も志なかばでの死は本意ではないと思いますが、私が父の後を継いで店を続けていくことが、父にとっての何よりの供養になると信じております。
私どもはまだまだ未熟ではございますが、今後とも故人同様、ご指導、ご鞭撻いただけますことをお願い申し上げます。本日は誠にありがとうございました。
挨拶の心構えと避けたい言葉について
喪主挨拶をするにあたり、どんな場合でもある程度共通の心構えや、守るべき言葉のルールがあります。
挨拶の心構え
一番大切なのは、参列者への感謝の気持ちを伝えることです。慣れない場で上手く話せなくても、その気持ちが伝われば十分です。
また、挨拶の長さは1分〜3分程度におさめましょう。緊張していると、短すぎたり長すぎたりしてしまうことがあるので、不安な場合はメモを見ながらでも問題ありません。
挨拶で避けるべき言葉とは?
葬儀では、使うべきではない言葉、いわゆる『忌み言葉』というものがあります。例えば、『重ね重ね』・『ますます』などの重ね言葉や、『死亡』・『生存中』といった生死に関する直接的表現などです。
重ね言葉などは日常的に使う言葉なので、喪主挨拶の時はうっかり口にしてしまわないよう注意しましょう。
まとめ
葬儀での挨拶は、慣れない上に気持ちが落ち着かない中ですることが多いため、できれば少しでも話すことを事前にまとめておくと良いでしょう。
ですが、謝意を伝えるという挨拶の基本は変わりません。あまり難しく考えずに、落ち着いて臨みましょう。