住宅には賃貸と持ち家の2種類がありますが、かかる費用の種類は異なり、それぞれに気を付けたいポイントがあります。老後までの長いスパンで考えた場合、住宅のためにかかる費用にはどのような違いがあるのでしょうか。
賃貸で必要な費用
まず賃貸の場合、必要な費用は契約時にかかる初期費用、契約後月々かかる費用、その後にかかる更新料に分けられます。初期費用には、敷金・礼金や不動産会社への仲介手数料などが含まれ、トータルで家賃の4倍~5倍となるのが一般的です。
初期費用のうち敷金はその賃貸住宅を出る時に全額ではなくとも返金されることが多いため、完全な支出とは言えませんが、契約時には必要となることが多い費用です。これらの初期費用は引越しをする度に必要となります。
賃貸契約後、月々にかかる費用
賃貸物件で月々にかかる費用の中には家賃だけでなく、管理費・共益費などがあります。
厳密には、管理費は物件そのものを管理するための費用、共益費は建物の共用部分のための費用という違いがありますが、賃貸の場合にはどちらかの名称で家賃以外の費用がかかると考えておけば問題ありません。
管理費・共益費の金額は家賃の5~10%程度が一般的です。
更新料に注意
初期費用、月々にかかる費用とは別に同じ物件に住み続ける場合に定期的に必要となるのが更新料です。賃貸物件の多くは2年ごとの契約となっており、その契約を更新する際に更新料が必要になります。
更新料の金額の目安は0.1~1カ月程度と地域や物件によって大きく異なります。最近では更新料が必要ない物件も増えてきているので、賃貸物件を契約する際には確認しておくのがおすすめです。
持ち家にかかる費用
持ち家にかかる費用は、住宅購入時にかかる費用、月々かかる費用、将来的にかかる費用の3つに分けられます。
住宅購入時にかかる費用
住宅購入時にかかる費用としては、大きく分けて以下の3つがあります。
- 住宅購入の頭金
- 税金(登録免許税、不動産取得税など)
- 手数料(司法書士、仲介業者、ローン関係など)
頭金の金額は自分で決められますが、その他の税金や手数料については物件によってある程度決まってしまうものです。一般的には購入時の費用は物件費用の3~13%程度かかると言われています。
ローン返済と利息
住宅ローンを利用した場合、毎月ローンを返済することになります。同じ物件でも住宅ローンの組み方や利息によって月々の返済額や返済総額は大きく異なるので、無理のない返済計画を立てることが重要です。
物件が戸建ではなくマンションの場合は、ローン返済に加えて管理費や修繕積立金が必要となります。また、持ち家になると毎年固定資産税などの税金がかかることも忘れてはいけません。
将来的なリフォーム費用
賃貸物件と大きく異なってくるのが将来的なリフォーム費用です。賃貸物件の場合には、共益費などから修繕費用が支払われますし、通常の使用での劣化について費用を請求されることはありません。
しかし、持ち家の場合には全ての修繕やリフォームの費用を自分で負担する必要があります。マンションの場合でも、共用部分は修繕積立金などから賄われますが、専有部分は個人負担ですので注意が必要です。
賃貸と持ち家にかかる住居費の比較
賃貸と持ち家にかかる費用をそれぞれ見てきましたが、住居費を比較するとどうなるのでしょうか。
現役時代は賃貸の方が費用が掛からない
持ち家の場合、税金や手数料などを含めて初期に必要な費用の額が大きくなります。賃貸の場合の初期費用は多くても家賃の数カ月分で済みますし、年間の固定資産税などの税金もかからないため、現役時代は賃貸物件の方が月々の費用がかかりません。
老後は持ち家のほうが安心
持ち家の場合ローンを完済してしまえば、かかってくるのは固定資産税が主となります。一方賃貸物件では、家賃と管理費・共益費、更新料は変わらず必要となるため、現役時代と同じ費用を老後も払い続けなければいけません。
こういった点を考えると老後は費用負担の少ない持ち家の方が安心と言えます。
ローンは定年までに返済しよう
老後を考えた場合には持ち家の方が安心なのですが、これはローンの返済を定年までに行った場合です。定年後までローン返済が継続していると老後の生活に支障が出てしまうかもしれません。
ローンの返済期間が短いほど支払う総利息も少なくなりますので、自分の収入の範囲内で、なるべく早く返済するようにしましょう。
また、持ち家の場合には住宅や設備の老朽化に備えて、その修繕費用やリフォーム費用を見込んでおくことも必要です。
まとめ
人生で一番大きな支出と言えるのが住居費用です。賃貸、持ち家それぞれでかかる費用は異なりますが、どちらのケースも総額ではかなり大きな費用となります。
費用だけでなくライフスタイルなども考えた上で、自分に合っているのは賃貸なのか持ち家なのかを検討する必要があります。その際は必ず現時点の状況だけでなく、老後までを見据えた上で判断することが大切です。