保険の中には満期を迎えると『満期金』が出るものがあります。今後の生活を養う為の大切な資金となりますが、税金がかかる場合があるので注意が必要です。確定申告が必要な条件や節税できる方法についても解説します。
満期金には税金がかかる
生命保険の中には、掛け捨てではなく『満期金』を受け取れる商品があります。『満期』とは保険契約によって定められた保険期間のことで、『満期金』は被保険者が満期時まで生存していた場合に支払われます。
こういったものは税法上では『金融類似商品』と位置付けられ、満期金には税金が課せられます。その内容を詳しく見ていきましょう。
一時所得として所得税がかかる
まず、満期金が課税の対象になるのは以下の場合です。
- 保険の『契約者』=『満期保険金受取人』
どのような形で受け取るかによって課税方法が異なりますが、『保険期間が5年以上』で、一時金としてまとめて支払いを受けた場合は、一時所得としての『所得税』が発生します。
特別控除額が50万円とされているので、『一時所得の所得税額の計算』は以下のようになります。課税の対象となるのは、特別控除額50万円を差し引き、更に1/2にした金額となります。
- (差益-50万円)÷2×その年の所得税率
一方で、所得税ではなく『源泉分離課税』が課せられることがあります。保険期間が5年以内、または5年以内に解約している場合で、計算は以下の通りになります。
- (満期保険金・解約返戻金の受取金額)−(払込保険料)×20%
年金で受け取ると雑所得になる
一括ではなく『年金方式』で満期金を受け取ることもできます。これは分割方式で受領することで、一時金で受け取るよりも、総受け取り額が多くなるというメリットがあります。
一時金で受け取る場合は、所得税となりますが、年金形式で受け取ると、公的年金等以外の『雑所得』となります。
- (その年に受け取った年金額)−(その金額に対応する払込保険料or掛け金の額)
年金で受け取る場合には、所得税が源泉徴収されるので注意しましょう。
契約者と受取人が違うと贈与税
ここまでは、『契約者』と『満期保険金受取人』が同一人物の場合を説明してきました。では、契約者が親、受取人がその子供など、『契約者』と『満期保険金受取人』が違っていた場合はどうなのでしょうか。
この場合、受け取る権利を贈与したということで『贈与税』が課せられます。ただし全部が課税対象になるわけではありません。年間110万円の基礎控除を満期保険金から差し引いた金額が課税価格となります。
- 贈与税額=(満期保険金-基礎控除)×(贈与税率)
20歳以上の子や孫などへの贈与は『特例贈与』、それ以外の妻などへの贈与は『一般贈与』とされています。誰に・いくら贈与したかで『贈与税率』が変わってくるので、確認を忘れないようにして下さい。
満期金が出る保険はどれ?
実際に満期金が出る保険にはどのようなものがあるのでしょうか。これから保険に加入する際の参考にしてみましょう。
養老保険
1つめは『養老保険』という生命保険です。これは『生死混合保険』ともよばれ、万が一の時の『死亡保障』と、満期の時の『養老金』を兼ねたタイプの保険です。
保障と貯蓄の両方のメリットがあるといわれており、保険期間満期まで生存した場合、死亡保険金と同じくらいの金額を受け取ることができます。
学資保険
2つめは『学資保険』です。子供の将来的な教育資金に対する保険で、子供が生まれた時に準備する人が多いようです。毎月定額の保険料を支払うことで、満期金を受け取ることができます。
一般的には、大学入学などで多額の教育資金が必要になる18歳、20歳、22歳あたりで満期を設定することが多いようです。
学資保険の満期金の受け取り方は、『年金方式』でお祝い金を受け取る方法と、満期金を一括で受け取る方法の2種類があります。
養老保険同様、一括で受け取る場合は一時所得としての『所得税』、年金方式で受け取る場合は『雑所得』としての税が課せられます。
注意したいのが『年金方式』で受け取ったケースです。一時所得と違い、雑所得には『特別控除額50万円』がないことを覚えておきましょう。
満期金に関する注意点
満期金は受け取ったら確定申告が必要なのでしょうか。できるだけ節税して満期金を受け取る方法や、注意点について解説します。
受取額によっては確定申告が必要
満期金には所得税や雑所得としての税金が課せられることからもわかるように、原則として満期金を受け取ったら確定申告が必要です。ただし、以下のケースは確定申告が不要です。
- 満期保険金<総支払額
- 所得税:(満期保険金−払込保険料)<50万円
- 贈与税:満期保険金<110万円
贈与税の対象にならないように対策を取る
満期保険金の贈与税の税率は10%~55%と所得税に比べかなり高額です。
そのため、贈与税の基礎控除である110万円を超えている場合は、名義を自分に変更するなどして、贈与税の対象にならないようにする対策を取りましょう。
まとめ
バブル時代から90年代にかけては、養老保険の予定利率が高く『貯蓄のための保険』として多くの人が加入していました。その頃に加入した世代が満期を迎えると、かなりの満期金が受け取れる計算になります。
所得税と贈与税では課税率が大きく異なるため、できるだけ節税できるような方法を考えましょう。