老後のために自宅をバリアフリーにリフォームしたいと思っても、リフォーム費用が高く実行を躊躇する人は少なくありません。今回は、バリアフリーを目的としたリフォーム費用を補助してくれる制度や支給要件について解説します。
バリアフリー住宅には国の補助制度がある
日本ではバリアフリー住宅にするためにかかる費用を補助する制度があります。制度には以下のものがあります。
- バリアフリー補助金
- バリアフリー助成金
- バリアフリーリフォーム減税
この3つの制度について順番に解説していきます。
バリアフリー補助金
バリアフリー補助金は、介護認定されて支援が必要な方を対象にした制度です。介護保険から支給されます。正式には『高齢者住宅改修費用助成制度』と呼ばれています。
バリアフリー助成金
バリアフリー助成金とは、バリアフリー住宅工事の費用の一部を国や自治体が助成する制度のことです。この制度は自治体によって様々なものがあり、介護認定された方ならどなたでも申請することが可能です。
更に介護保険と併用することも可能なので、介護の経済的負担を減らすのに有効な制度です。具体的な助成金額は自治体によって異なりますので問い合わせてみてください。
バリアフリーリフォーム減税とは?
この制度はバリアフリー化を目的としたリフォームを行った場合に受けられる減税措置です。これには所得税・固定資産税・相続税を対象とした減税があり、減税措置の条件にはそれぞれ違いがあります。
所得税の減税対象になる条件
- 50歳以上の方
- 要介護、要支援認定された方
- 障がい者の方
- 2.3に該当する方の親族
- 65歳以上の親族と同居している方
- 改装工事が完了した日から6か月以内に住んでいること
- 改修後の自宅の床面積が50㎡以上であり、その半分以上が自分の居住スペースであること
- 自分居住スペースの為に改修した部分の費用が費用総額の半分以上であること
上の条件に当てはまり、さらに以下の改修工事を行った場合に措置を受けることができます。
- 通路の幅を広げる工事
- 階段の勾配緩和
- 浴室リフォーム
- トイレリフォーム
- 手すり取り付け
- 段差解消
- 出入口の改良
- 滑りにくい床材へのリフォーム
具体的な減税額は工事費用の支払い方法によって変わります。手持ちの資金で払う『投資型減税』と住宅ローンを使って払う『ローン型減税』では、ローン型減税の方が減税額が多くなります。
固定資産税の減税対象となる条件
- 65歳以上
- 要介護または要支援認定を受けている
- 障がい者
対象の工事は所得税と同じですが、減税額は翌年にかかる固定資産税100㎡までの金額の3分の1です。
リフォームの補助金支給を受けるには
ここからはバリアフリーリフォーム補助金を受けるにはどうすればよいのか、どのような方が対象なのかを解説します。
支給される対象者の条件
支給対象の方は以下の通りです。
- 要支援、要介護認定されていること
- 改修対象の物件の住所が介護保険被保険者と同じ住所であり、本人が実際に住んでいること
工事費用の9割が介護保険より支給されます。工事費用の限度額は20万円なので、実質最大18万円が支給されることになります。
補助対象のリフォーム工事の種類
補助対象の工事は以下の通りです。
- 手すり取り付け
- 段差解消工事
- 滑らない床材への変更
- 出入口の扉を引き戸等にする工事
- 洋式便器への取り換え
これらの工事のために必要な住宅改修費用も補助対象となります。
支給を受けるためには介護保険課へ
補助金制度を利用するためには、各自治体の介護保険課へ申請する必要があります。申請する際は以下の書類が必要となります。
- 本人名義の領収書
- 工事費内訳表
- 改修完了確認書
なお『改修完了確認書』には改修前と改修後の写真を添付することが必須です。
国以外に自治体による補助制度も
バリアフリーリフォームの補助を行っているのは国だけではありません。各自治体でも独自の補助制度があります。自治体による様々な補助制度の例を紹介します。
大阪府では市町村による補助制度
大阪府の市町村ではそれぞれ独自の補助制度を設けています。大阪市では『高齢者住宅改修費給付事業』として、国の補助制度では支給対象にならない工事も補助する仕組みがあります。
また池田市では重度の障害を持った方に対して、自宅の改修にかかる費用を20万円まで支給しています。これには所得制限があります。また自動車改造費の補助も行っています。
京都府の制度は21世紀住宅リフォーム資金
京都府では『21世紀住宅リフォーム資金融資』と呼ばれる制度があります。この制度には『一般型』と『親孝行型』があり、融資限度額は350万円です。
一般型は京都府に住んでいる方なら誰でも利用でき、親孝行型は高齢者の親が府内に住んでいる方が利用できる制度です。
まとめ
バリアフリー住宅に関する補助制度は様々なものがあります。対象者に加えて、対象となる工事にも条件が課せられていますが、該当する場合には制度を利用することで経済的負担を確実に減らすことができます。
自治体で独自の助成制度を設けている場合もあるので、お住まいの自治体の情報もチェックしてみましょう。