介護には、思っているよりも費用がかかります。突然介護が必要になった時に備えて、あらかじめかかる費用や利用できるサービス、控除について知っておくと、いざ介護が必要となっても、安心して介護サービスを受けられるでしょう。
親の介護にかかる費用について
親に介護が必要となった場合、何かしらの介護サービスを受けることが多いでしょう。その際には、少なからず費用がかかります。
介護保険の仕組み
介護保険とは、40歳以上のすべての人に支払い義務が発生する介護保険料をもとに、介護が必要になった場合、各種介護サービスなどの援助を受けるために保険給付を受けられる仕組みです。
介護が必要になったら、自治体による介護認定を受け、そこで認定された要介護度によって介護保険の給付額の上限は異なります。
また、介護保険が適用となる介護サービスでは、要介護者の所得によって負担額が1割~3割と変動しますが、この自己負担分には、所得に応じて負担軽減措置もとられています。
在宅介護と施設介護では費用が違う
在宅介護では主に家族が介護を行うのに対し、施設介護は有料老人ホームなどの施設で毎日を過ごしながら介護を受ける形になります。
施設介護では、介護にかかる費用以外に施設の利用料や食費などもかかるため、一般的に施設介護の方が高い費用がかかるといえます。
親の介護費用は医療費控除の対象に
介護をするための費用は、介護保険が適用になるケースが大半なので、100%自己負担となることは少ないといえます。さらに、介護にかかった費用は医療費控除の対象です。
控除の対象になる介護保険サービス
訪問介護ヘルパーや訪問看護、訪問リハビリテーションといった訪問型のサービスのほか、デイサービスのような日帰り介護にかかった介護費用やおむつ代も、医療費控除の対象となっています。
夜間対応型訪問介護や訪問入浴介護などは、これらの介護サービスと併用した場合のみ控除対象となります。さらに、通所リハビリテーションやショートステイへ通う際に発生した交通費も控除対象です。
控除対象外のサービス
以上のように、介護にかかった費用が控除対象となる場合がある一方で、すべての介護費用が控除対象となるわけではない点に注意が必要です。
例えば、日常生活費や特別なサービスにかかった費用は控除対象外として扱われます。また、介護サービスを受けていたとしても、その費用の支払いが済んでいない場合は控除対象外となります。
かかった費用の領収書は取っておく
医療費控除を受けるためには、支払いを行った証明として領収書が必要です。介護施設や居宅介護サービスを利用した時は、それぞれの事業所などから発行される領収書を保管しておきましょう。
おむつを購入した際や介護サービスを受けるために交通機関を利用した時なども、その証明として領収書が必要です。そのため、介護費用で控除を受ける場合は、領収書を保管しておいてください。
親が元気なときに確認しておくこと
親の介護は、ある日突然やってくることもあります。今は親がまだまだ健康だから介護を受けるには程遠い、などと悠長に考えていては、介護への準備は明らかに足りなくなるでしょう。
介護にかかるお金は、決して安く済むものではありません。たとえ在宅介護でも、介護保険が適用となり自己負担分が多少減ったとしても、自立している時よりもはるかに出費が増えるものです。
一般的に、介護にかかる1ヵ月間の費用は平均5万7000円、介護を終えるまでのトータルで見ると、300万円は必要といわれています。介護が必要となり、この額をすぐに用意できる方は多くはないでしょう。
ですから、いざという時のためにも、親が元気なうちに行っておくべきことがあります。
親の介護費用を払うのは誰?
一般的に、介護費用は要介護者の預貯金や年金などの収入でまかなうものとされています。しかし、介護費用が大きくなると、貯金が底をつき年金収入だけでは不十分になるケースもあるでしょう。
そんな時は、子どもの金銭的な援助が必要となります。兄弟姉妹がいるのなら、あらかじめ話し合って介護費用の負担を決めておくとスムーズです。
介護費用の準備があるか確認
親が元気なうちにまず行っておきたいのは、介護のための備えがどの程度あるのかを把握しておくことです。
そして、親本人が施設介護や在宅介護など、どのような方法で介護を受けたいか、介護方法の希望も聞いておきましょう。場合によっては、この時から介護費用を少しずつ準備してもいいでしょう。
最近では、民間の保険会社の保険商品として介護保険も登場していますが、介護の準備として介護保険に加入しているケースはまだそれほど多くはないかもしれません。
親の状況をある程度把握しておくと同時に、子ども世代も介護のための貯金を始めてもいいのではないでしょうか。できるだけ早いうちにこのような準備を行っておけば、いざ介護を行うことになっても慌てずに済むはずです。
まとめ
介護を行うにあたって金銭面での問題は、大きくのしかかることがあります。何も事前に準備していない状態で介護が始まってしまうと、親も子どもも負担が大きくなってしまいます。
そんな事態を避けるために、あらかじめ介護費用や介護サービス、利用できる控除を知っておくことは、大事な介護への準備のひとつとなるでしょう。