一般的な葬儀の流れ。お通夜と葬儀の違いや所要時間も解説

葬儀の基本

葬儀に参加することになったら、慌てずにマナーを踏まえた振る舞いをしたいものです。そのためには『一般的な葬儀の流れと内容』を知り、おおよその所要時間を把握しておくことが大切です。葬儀を行う立場になったときも覚えておけば安心です。

一般的なお通夜と葬儀、告別式の違い

お通夜と告別式の2日間のことを『お葬式』や『葬儀』と呼ぶことが多いのですが、簡単に説明すると次のような違いがあります。

  • お通夜:仕事関係や近所の方がメインでお別れをする儀式。『半通夜』が一般的。
  • 葬儀:故人を弔い、葬る宗教的な儀式全般。『葬送儀礼』の略。
  • 告別式:亡くなった人に別れを告げる儀式。お別れの会など。

2日間のうち、1日目にお通夜、2日目に葬儀・告別式が行われます。

地域によって異なるお葬式。首都圏の場合

お葬式は行われる地域によってしきたりや習慣が違います。首都圏ではどのようなものがあるのかを紹介します。

  • 茨城県:出棺の際参列者に『撒き銭』をする。キャラメルなどのお菓子を使う。
  • 栃木:故人の家の裏の北向きに故人の服を水で濡らして干す『7日ざらし』をする。
  • 群馬:位牌を子どもの人数分つくり、それぞれの家に安置する。
  • 千葉:長寿を全うした場合、紅白のヒモを通した5円玉をポチ袋に入れて配る。
  • 神奈川:納棺の時『豆腐』を少しずつ分け合って食べる。
  • 埼玉北部:参列者に『金剛杖』、男性には『額に付ける△の布』が配られる。

これらは県全体ではなく、各県の一部地域で行われているものです。

また、千葉県の房総地方、埼玉県川越市や神奈川県の一部では、葬儀・告別式の前に遺体を火葬する『前火葬』を行います。

お通夜は葬儀前日に故人を偲ぶ儀式

お通夜は、遺族や親族、親しい友人など故人にとって身近な人たちが、故人を偲ぶために夜通し付き添う儀式です。一般の弔問客が訪れる葬儀の前日に、故人のそばで線香やろうそくの火を絶やさずに、一晩を過ごすというのが慣例でした。

しかし、時代の流れとともに、多くの人が参加しやすい18時~19時頃から始まり、2~3時間程度で解散する『半通夜』がメインになりました。そのため親族だけに限らず会社関係や近所の人もお通夜に参列します。

昔とスタイルは変わっても、葬儀前日に故人を偲ぶ儀式であることに違いはありません。

葬儀は故人を成仏させるために行う儀式

葬儀は遺族と近親者が『故人を成仏させるために行う儀式』で、お通夜翌日の10~11時に開始されるのが一般的です。

僧侶が読経を上げるなど『宗教的儀式』の意味合いが強いものですが、葬儀に参列できなかった知人や友人が故人とお別れする『告別式』とセットで行われることが多く、2つを合わせて『お葬式』と呼ぶこともあります。

故人の納棺までの流れ

亡くなってから納棺するまでのおおまかな流れは、次のようになります。

  1. 親族に電話で訃報連絡
  2. 葬儀社に遺体搬送の依頼連絡
  3. 遺体の安置場所の確認と搬送
  4. 安置の準備
  5. 葬儀の準備
  6. 納棺の儀

訃報の連絡はあらかじめ『すぐに知らせる必要のある人』と『葬儀日程が決まってから知らせる人』を把握し、連絡もれのないようにしましょう。安置室には長時間遺体を置いておけないので、葬儀社を決めておくと納棺までをスムーズにとり行うことができます。

エンゼルケアから安置までの流れ

『エンゼルケア』は、病院などで亡くなった場合に行われる死後の処理のことです。医療的行為が含まれるため看護師が行うのが一般的です。

  • 装着していた医療器具を外す
  • 傷などの手当
  • 鼻・口・耳への脱脂綿詰め
  • 口腔ケア
  • 全身をアルコールで拭く清拭
  • 着替え、死化粧

感染症予防の目的と、闘病や死による体や顔の変化をきれいに整えることで『故人の人格や尊厳を守り、遺された人の心のケアをする効果』もあります。

エンゼルケアが終わると医師から『死亡診断書』を渡されます。その後、一時的に病院の霊安室に安置され、葬儀社の到着後に自宅もしくは斎場の安置所へ移動します。

喪主決めから納棺までの流れ

次に葬儀を取り仕切る遺族の代表『喪主』を決めます。故人の指示による人か、配偶者など故人の後継者や血縁関係から選びます。

葬儀の規模により、会計・受付・接待などを担当する『世話役』も決めます。親戚や友人、会社の同僚や上司、町内役員などの中から選びます。

喪主や世話役が決まったら、葬儀担当者との打ち合わせ、『死亡診断書』の提出、葬儀社に死亡届や火葬許可証の手続き依頼をします。菩提寺がある場合もこの時点で連絡し、読経や戒名の依頼をしましょう。

通夜が始まる前に遺体を清めて死装束を着せ身支度をする『納棺の儀』を行い、葬儀社や納棺師がメインで『納棺』を行います。遺族もできるかぎり『故人の旅立ち』を手伝うことが望ましいとされています。

一般的なお通夜の流れや時間

葬儀の前夜に行われることの多いお通夜の流れは、次のようになっています。

参列者の受付準備から開式までの流れ

喪主・遺族は参列者の受付準備をするために2時間前には会場入りします。受付・会計などあらかじめ決めておいた役割を確認します。

芳名帳や筆記具などをセッティングし、会葬礼状や供物、供花の名前の表記に誤りがないかどうかも確認しておきましょう。

受付は通夜開始時刻の30分前から始め、前列では受付係が参列者から芳名を頂き、香典を預かります。後列では会計係が芳名と香典を照らし合わせ、お金の管理を行います。

通夜開始時刻になったら、遺族は祭壇に向かって右側、参列者は左側に着席します。僧侶が入場し、開式となります。

読経から通夜振る舞いまでの流れ

僧侶の読経が始まったら、遺族から焼香が始まり、席順通りに参列者が続きます。焼香が終わったら僧侶が退場し、通夜式を閉式とします。

喪主が参列者に対して挨拶、その後で通夜振る舞いがあることも伝えます。

『通夜振る舞い』は参列者に対するお礼の場であり、故人との最後の食事の場でもあります。故人を供養する意味があるため、すすめられたら遠慮はせず参加することが大切です。

用意された料理や飲み物には一口だけでも箸を付けることがマナーですが、お酒を飲み過ぎて騒いだり、長居したりするのは失礼にあたるので、早めに切り上げましょう。

お通夜の一般的な所要時間

夜から始まることの多いお通夜の所要時間は、トータルで3時間程度が一般的です。仕事帰りにお通夜に参列する人も多くいます。

18時開式19時閉式というケースが多いので、遅れそうな場合はあらかじめ連絡をし、焼香に間に合うかどうか確認しましょう。

遺族に負担をかけないよう、場合によっては後日お線香をあげに伺うなどの配慮が大切です。

一般的な葬儀、告別式当日の流れや時間

お通夜の翌日に葬儀・告別式が行われます。当日は次のような流れになります。

受付準備から出棺までの流れ

遺族は開始時間の1時間前には集合し、葬儀担当者と段取りの最終確認、受付準備として会葬礼状、会葬御礼品の用意をしておきます。弔辞や弔電の名前・順番に間違いがないかどうかも確認しましょう。

受付が終わり、遺族・参列者が着席したうえで僧侶が入場し、次のような流れで進められます。

  1. 読経
  2. 引導(※)
  3. 焼香
  4. 弔辞・弔電
  5. 僧侶退場
  6. 閉式
  7. 出棺準備

一般参列者は出棺の見送りのため式場の外で待機します。遺族はお別れを告げながら生花で故人のまわりを飾り、喪主から順に棺にくぎを打ちます。遺族や親族が寝台車に棺を乗せて、『出棺』となります。

(※)死者が成仏できるように読経のあとに読み上げられるもの。

火葬から初七日法要までの流れ

火葬場に到着したら、最期のお別れとなる『納めの式』を行った後、火葬が始まります。火葬の間、親族や同行者は控室で待機します。

火葬が完了したら係員からの声かけで収骨室へ移動し、二人一組で骨を骨壺に納める『骨上げ』をします。収骨が終了したら骨壺と『埋葬許可証』を受取りましょう。

自宅へ持ち帰った位牌、遺影、遺骨を『後飾り祭壇』に安置し、故人の遺骨を家に迎え入れるための『還骨法要』を行います。

亡くなった日から数えて七日目に行う『初七日法要』ですが、参列者の負担を考慮して還骨法要と一緒に行う『繰り上げ初七日法要』が多くなっています。

法要終了後、僧侶やお世話になった方々への感謝を込めて『精進落とし』がふるまわれます。

葬儀、告別式の一般的な所要時間

火葬場の稼働時間に合わせて、葬儀・告別式は10:00開式の場合が多く、式自体は1時間弱で閉式となるのが一般的です。

その後火葬で約1時間、還骨法要と繰り上げ初七日法要で約30分、精進落としで1時間程度を要します。10:00開式の葬儀・告別式の場合、精進落としが終了するのは15:00~16:00くらいと考えておくと良いでしょう。

その後遺族や親族を中心に、遺体の火葬のために火葬場へ移動します。

お葬式について知っておきたいこと

大切な人との最後のお別れとなるお葬式には、知っておきたいことがたくさんありますが、次の3つについては特に確認が必要です。

家族葬の場合も流れはほぼ同じ

故人とごく近しい身内による葬儀『家族葬』をする人が増えています。血縁関係でなくても付き合いの深い友人や遠縁の人も呼ばれ、一般的な葬儀とほぼ同じ流れで行われます。

参列者は『故人の遺志を尊重して選ぶ』ことが基本です。生前故人が話していた内容やエンディングノートなどの記録を元に、残された家族で話し合って決めましょう。

しかし会社関係や町内会など故人にとって関わりがある組織には、まえもって代表や会長など取りまとめている人に『家族葬』にする旨を伝え、後のトラブルにつなげない配慮が必要です。

納骨の日程は遺族の意向により異なる

四十九日の法要後に納骨するケースの場合、納骨までの日数は亡くなってから2ヵ月前後となりますが、そもそも納骨はいつまでに行わなければならないと法律ではっきりと定められているわけではありません。

そのため、納骨の日程は故人や遺族の考え方、納骨するお墓の準備などの事情によって異なります。仏壇など自宅に遺骨を長年保管することも珍しくはありません。

葬儀までの平均的な日数は4日から5日

以前は亡くなった翌日にお通夜、翌々日に葬儀・告別式を執り行うのが一般的でしたが、実は亡くなってから葬儀が行われるまでは、平均4日から5日程度かかるのが現状です。例えば首都圏では、亡くなった翌日に葬儀をする人は0.2%とごくわずかです。

その大きな理由に、高齢化社会に伴う斎場や火葬場の混雑があります。特に、火葬場と併設された公営斎場は費用も安く人気が高いので、スムーズに予約がとれることは滅多にありません。

また、斎場と火葬場を別々に予約する場合も、葬儀・告別式と火葬は同日に行う必要があるため、最短の希望日に予約を行うのは難しいのです。

まとめ

周囲の人の訃報を受け取ったら、お通夜、葬儀・告別式、火葬などのうち何に参列すべきかをしっかりと考え、故人とのお別れを後悔のないように行いましょう。

また、いつ葬儀を執り行う立場にならないとも言い切れません。大人のマナーの一つとして、お通夜と葬儀・告別式の流れや必要なものなどを覚えておくようにしましょう。

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