昨今では、自らの死後、残された家族に金銭面などで迷惑をかけたくないため、直葬を考える人も少なくありません。しかし直葬の具体定期な方法や、かかる費用など、よくわからない面も多いでしょう。この記事では、直葬に関する疑問点を解説します。
直葬について
『直葬』は、よく聞くようになった言葉ですが、どのようなものなのか知らないというケースも多いでしょう。ここでは、直葬とは何かについて解説します。
直葬と火葬式の違い
荼毘(だび)に付される前に一度遺体を自宅に搬送し、親族や故人と親しかった人々で最期のお別れをします。また、一般的に執り行われる、火葬炉の前で僧侶がお経を唱える儀式もあります。直葬では、火葬中も控え室で待機し、お骨上げもごくごく簡易的に行われます。
割合が徐々に増えている訳とは
このように、お葬式の中でも最もシンプルな形式といえる直葬ですが、近年行われる葬儀の割合としては増加傾向にあります。まだまだ一般葬の割合が過半数を占めていますが、現在では20%ほどの割合で直葬が行われています。
直葬の割合が徐々に増えている理由としては、死者の高齢化・経済状況の変化などがあげられます。
昨今では、以前よりも高齢になってから人生を終えるお年寄りが増えています。そのため、故人が亡くなるまでに多額の介護費用がかかった場合など、せめて葬儀費用は安く済ませたいと考えるケースがあるようです。
新たに広まりつつあるゼロ死とは
費用を抑えた葬儀の形として直葬が広まっていますが、現在では、新たな終活として「ゼロ死」という言葉も提唱されています。「ゼロ死」とは、死んだ際に葬式を上げず、遺骨を残さず、墓も持たない状況のことを指します。つまり、死んでから何も残さないゼロの状態にするのです。
人が1人亡くなることで、残された家族に強いられる経済的負担は相当なもの。その負担を軽減するためにも、直葬によって一般的な葬儀の形を簡略化し、遺骨を残さず、墓も希望しない「ゼロ死」という概念が広まりつつあるようです。
直葬をする上で気を付けるべきこと
直葬をするうえではどのようなことに気を付ければいいのでしょうか。初めて直葬をされるときにはわからないことがたくさんあるはずです。ここでは、気を付けるべきことをまとめます。
葬儀社選びがポイント
直葬する上で最も気をつけたいポイントは、信頼できる葬儀社を選ぶことです。全国には多くの葬儀社が存在していますが、中には悪質なものも含まれます。
特に直葬では費用が抑えられる分、葬儀社の利益も損なわるため、サービス内容について十分な説明がないなどの悪質な葬儀社も多く存在するのが実情です。これらのことを踏まえ、複数の葬儀社から比較を行い、安心して葬儀を任せられる葬儀社を選びましょう。
香典などお金の費用はどのぐらいなのか
通夜や告別式などを行わない直葬の費用は、その他の葬儀と比べ大変安くなります。大手や小さな葬儀社であっても、直葬であれば20万円を切ることが多いです。
また、一般的に直葬では香典を受け取らないので、香典返しの必要もありません。万が一香典を持参されてしまった場合には、受け取りを辞退することが一般的です。
メリットとデメリットをしっかり把握する
直葬は比較的新しい葬儀の形式といえるため、メリットだけではなくデメリットが発生することも把握しなければなりません。
メリットとしては、葬儀の費用が安く時間がかからない、参列者への対応が不要である、香典返しも不要、煩雑な手続きから解放されることなどが上げられます。
その反面、従来の葬儀形式とは異なるため周囲の反感を招く可能性や、お別れ時間の少なさ、お墓を管理する菩提寺とのトラブル、悪質な葬儀社にあたってしまうなどのデメリットに見舞われることもあります。
デメリットまでしっかりと把握し、悔いのない直葬を目指してください。
お墓以外に供養する方法
近年ではお墓以外に供養する方法をみられるようになりました。故人にしても遺族にしても、新しい選択肢のひとつとなっています。ここでは、お墓以外に供養する方法について説明します。
海洋散骨
これまで遺骨はお墓に納めることが一般的だったものの、近年では散骨も供養方法のひとつとしてあげられます。主要な散骨方法として海洋散骨がありますが、これは文字通り砕いた遺骨を業者に依頼して海に撒く方法です。
費用相場は、遺族のみ単独で船をチャーターして行う個別の散骨では、20万~30万円程度かかるといわれています。また、一家族だけではなく複数の家族がひとつの船に乗り合わせて散骨を行う場合、チャーター代を分担できるため費用は10万円前後で済みます。
ただ、費用が抑えられる分乗船人数や日程などにさまざまな制限があります。より費用を抑えるためには5万円前後で委託散骨も可能ですが、その名の通り遺族自ら散骨することは叶いません。
しかし、散骨が実施された証である証明書や、写真の送付がサービスに含まれることもあります。
樹木葬
納骨の手段としては、樹木葬という方法もあります。これは自然葬のひとつで、霊園の敷地や野山の草花の下に遺骨を埋葬する方法となります。
無論、どこに遺骨を埋葬してもいいということはありません。樹木葬は管理された敷地でのみ行います。法的に許可を得た場所に埋葬する必要がありますし、埋葬の際には「埋葬許可証」が必要です。
一般的に、許可を得た霊園の樹木や、納骨堂内の植物に囲まれた場所に遺骨を埋葬する形になります。
より自然に近い、人里離れた山林などの場所で埋葬することもあるようです。埋葬の種類によって変化しますが、費用の相場は50万円程度となります。新たに墓石を建てるよりは費用を抑えられるでしょう。
まとめ
ここまで、直葬の疑問点について解説していきました。旅立つ人間の気持ちや、残された家族の負担を考慮しても、合理的な葬儀形式といえるため、その割合が増えていることも頷けるのではないでしょうか。直葬についてお悩みの方はぜひ参考にしてみてください。