長年連れ添った夫婦が離婚すると『あの夫婦がなぜ?』と周りの人を驚かせます。熟年離婚というと妻から切り出すイメージですが、近年夫側から離婚を切り出すケースが増加しているそうです。突然夫から離婚を言い渡された時、妻はどうすればよいのでしょうか。
増える夫からの熟年離婚
家庭や子育てのことはほとんど妻にまかせっきりの、いわゆる『家庭を顧みない夫』が、子どもが成人する頃になって、妻から三行半を突き付けられるというのが、熟年離婚の一般的なパターンとされてきました。
もちろん現在も妻側から離婚を切り出すパターンは多いものの、実は夫からの離婚の申し立てがジワジワと増加していると言われています。20年以上という長期間生活をともにしてきた夫婦の形に、新しい変化の波が訪れています。
熟年離婚の件数
厚生労働省のデータによると、平成28年度の時点で離婚件数は約22万件、そのうち『20年以上同居していた夫婦』の離婚件数は約38,000件となっています。
ちなみに熟年離婚というと、高齢の夫婦の離婚という認識を持つ人が多いようですが、実は『婚姻の年数が20年以上の夫婦の離婚』を指します。
つまり20代で結婚して20~30年後に離婚した場合、40~50代でも熟年離婚となるのです。
夫にとって熟年離婚は得になる?
結論から言うと、金銭的には夫側に大きな負担(損)がかかります。
妻とのパートナー関係を解消したいと心から望んでいるのであれば、離婚が成立して一人になり、自由になるという『精神的な幸福』が手に入ります。
しかし、財産分与や年金分割、慰謝料、子どもがいる場合には養育費など、一家の大黒柱である夫には多額の金銭の請求が発生します。年齢によっては退職金も妻に分与しなければなりません。法律的にそのように決められているからです。
つまり熟年離婚では夫の金銭的な損失が大きく、それによるその後の生活水準が落ちることを覚悟する必要があります。
夫が熟年離婚を切り出す理由
平均寿命が延び、100歳まで生きることが珍しくない現代では、子どもが成人し、夫婦だけの生活がスタートする年代に差し掛かっても『まだまだ長い』人生が待っているのです。
第二の人生が長くなったことにより、自分の本当の人生をやり直したいと考える男性が増えたと言えるでしょう。
夫が熟年離婚を切り出すにはそのほかにも理由があります。
愛されていることを確かめたい
熟年離婚を切り出す理由の一つに『妻の気持ちを確かめたい』とか『妻の気を惹きたい』というケースもあります。
長年の結婚生活の中で会話が減り、すれ違うことが続いて、ただの同居人のようになっていくことは珍しいことではありません。そんな日々の中で徐々に不安が募り『果たして自分は妻に愛されているのだろうか』という疑問が沸き上がります。
そこで熟年離婚を自分から切り出すことによって、妻の本音の反応が見たいという夫は多いのです。
妻の態度に不満
妻の不満として『夫が話を聞いてくれない』というものがありますが、夫はそんな会話や言葉よりも妻の『態度』が気になる人が多いと言われています。次のようなものです。
- いつもイライラしている
- 感情まかせに子どもを叱る
- 暴言を吐く、怒鳴る、暴力
- 挨拶しない
- 家事の手抜き
- 身だしなみがだらしなく女性らしさがない
結婚すると夫に対しての態度が雑になったり、冷たくなったりする女性は少なくありません。そんな積み重ねが夫に怒りや恨みを抱かせて『この女とは一緒にやっていけない』と離婚を決意させるのです。
一人のほうが気が楽
妻への不満要素がたまっていくと、もはや家庭は安住の地ではなくなります。家に帰るのが怖い『帰宅恐怖症』になり、車中で過ごす夫もいるくらいです。
しかしそんな生活も長くは続かず、やがて一人でいるほうが心が安定していることに気づきます。
嫌な相手のために無理をしている自分を解放し、本当の意味で一人になるためにも『熟年離婚』を切り出すのです。
熟年離婚を回避するには
できれば熟年離婚は避けたいと思うのであれば、妻の側でできることがいくつかあります。
夫から出されるシグナルを見逃さない
男性は女性よりも比較的自分から離婚を言い出す人は少ないと言われています。それでも離婚を決意して切り出すようになるにはきっかけがあり、少しずつそのシグナルが出ているはずです。
- しゃべらなくなる
- 帰宅時間が遅くなる
- セックスを拒否する
- 出会い系サイトなどをして、コソコソしている
- 家族での外出を避けたり、生活リズムをずらそうとする
- 離婚をほのめかす
これらは浮気や不倫が関係している可能性が大きくなります。自分一人で不満を募らせている状態よりも、女性の存在がある場合は更に事態がややこしくなりますので、早めにチェックにしたいものです。
妻として気を付けること
最悪、浮気や不倫の可能性があったとしても『熟年離婚』は避けたいという場合、妻の態度一つで改善され、夫婦関係を継続できる可能性があります。
夫の不満の度合いや気持ちのこじれ具合によっては時間がかかりますが、次のようなことに気を付けてみましょう。
- 笑顔で話しかける
- 挨拶をする
- ありがとう、ごめんなさいをきちんと伝える
- 夫の大切にしているものを大切にする
- 家事など家の仕事をしっかりとやる
- メイクや服装など女性らしさを心がける
妻の方から笑顔で話しかけることが一番大切です。最初は無視されたり、冷たい反応が返ってきたりするかもしれません。『見返りは期待せずに』地道に続けることです。
また、夫が好んでいるものやこだわっていることをないがしろにせず、大切にしてあげることが夫の自己肯定感を高めて妻を見直すきっかけにつながります。
まとめ
夫には何を言っても大丈夫だとか、何も言わなくてもわかってくれていると思うのは大きな勘違いです。妻の座にふんぞり返って思いやりがなくなっていませんか?
『性格の不一致や価値観の違いなどがあっても、20年以上もともに生活してきたのだ』と安心せず、そこから自由になろうとする夫もいるということを忘れないようにしましょう。
そのうえで妻も見返りを期待せずに努力することができれば、夫からの熟年離婚は避けられる可能性が大きくアップします。