介護を必要とする方は年々増え続けています。高齢化社会の今、頼りになるのが『訪問介護』です。訪問介護の基礎知識や負担費用の相場について紹介します。また、訪問介護事業を立ち上げる場合の費用についても解説します。
訪問介護の基礎知識
被介護者の自宅へ、ケアワーカー(介護福祉士)やホームヘルパー(訪問介護員)が直接伺って、日常生活のお手伝いを行うのが『訪問介護』です。
訪問介護とは?
具体的なサービス内容は、食事・排せつ・着替え・入浴といった『身体的な介護』だけではありません。掃除・洗濯・料理・買い物などの『家事の手伝い』、薬の受け取りなど『生活面のサポート』も行ってもらえることが、特徴です。
要支援や認知症でも受けられる?
『要介護』まではいかない『要支援』の場合でも、『介護予防訪問介護』というサービスを受けられます。これは訪問介護の一種ですが、要支援の方が要介護の状態に進むことを予防することを目的とした内容です。
また、認知症の方を家族だけで介護することは容易ではありませんが、そんな時、自宅まで来てもらえるサービスは強い味方となります。『要介護』の認定を受ければ、認知症の場合も『訪問介護』を受けられます。
訪問介護のメリット・デメリット
訪問介護のメリットは、何といっても自宅にいながら介護を受けられることです。これは、移動が大変なお年寄りには大きなメリットです。
また、老人ホーム等を利用する場合に比べれば、訪問介護の方が費用負担を抑えることもできます。
デメリットは、自宅に他人を入れることに抵抗がある方にはストレスになってしまうことがあるという点、さらに、在宅介護を可能にするために、自宅のリフォーム等の費用負担が発生する場合があるという点です。
訪問介護に必要な費用負担
では、訪問介護を受けるための費用負担はどのぐらいかかるのでしょうか?その仕組みと、実際の費用を紹介します。
介護保険とは?
『介護保険』は、40才以上の国民が支払った保険料と、国や自治体の公費によって、要介護者の費用負担を抑えようという仕組みです。
これにより、利用者は1~2割程度の負担でさまざまな介護サービスを受けられます。その中に訪問介護も含まれています。
費用負担の相場は?
訪問介護のために毎月どのくらいの費用負担が必要なのでしょうか。
もちろん利用頻度やサービス内容によって異なりますが、1割負担の場合は、要介護1の方で月5000円程度、要介護5の方の場合で月1万円程度と言われています。
毎日どのくらいの負担がある?
では、毎日の費用負担額、つまり訪問介護を1回利用するごとにかかる費用負担はどのぐらいになるのでしょうか。
サービス内容と、利用時間によって料金が異なりますが、身体介護を受けた場合の金額の目安は以下のとおりです。
- 20分未満=165円
- 20〜30分未満=245円
- 30〜60分未満=388円
- 60〜90分未満=564円
訪問介護事業を立ち上げたい
これからますます必要とされている訪問介護サービスを、自分で立ち上げたい、開業したいという方も増えています。開業するために必要な資格・手続き・費用などについて紹介します。
どんな資格が必要?
訪問介護事業を立ち上げるためには、以下の3種類の人員を、常勤で確保する必要があります。
- 訪問介護員
- サービス提供責任者
- 管理者
『訪問介護員』には各自治体などで行われる『介護職員初任者研修課程』の修了証明書が必要で、介護業務に従事する方は必ず受ける必要があります。
『サービス提供責任者』は、介護福祉士の有資格者か、実務者研修修了者、もしくは介護職員初任者研修の修了者で実務経験が3年以上ある必要があります。『管理者』には、資格要件はありません。
開業にあたってどんな手続きが必要?
訪問介護事業を始めるには、都道府県や市区町村から『介護事業者』としての指定を受ける必要があります。そのためには『法人』の設立が必要です。
株式会社もしくは合同会社は、資本金は1円から設立可能です。ただし株式会社の場合は合計24万2000円、合同会社は10万円の設立費用が必要です。
設立手続きの基本的な流れは同じで、まず定款を作成し公証人の認証を受けます(合同会社は認証不要)。資本金の振込み、登記書類の作成を行った上で、代表者が会社の所在地を管轄する法務局に登記手続きを行い完了となります。
事業開設の費用や助成金は?
事業所の立ち上げにあたっては、国や自治体が設けている助成金を受けることが可能です。
1つが『介護基盤人材確保助成金』で、介護事業を新規で立ち上げる際や、事業拡大の際に介護福祉士などの特定労働者を新しく雇用する場合に利用できます。
こうした助成金をうまく活用することで、開設にかかる費用を抑えられます。
まとめ
介護は高齢化社会が進む中、誰にとっても身近なものとなってきています。そのため、国や自治体からも積極的な補助がありますし、介護利用者の費用負担もできる限り抑えられる仕組みが整ってきています。
多くの方が介護事業に興味を持つことでサービスが向上し、高齢者にとっても便利な社会となっていくことでしょう。