身近な人の葬儀は人生においてそう何度も経験するものではありません。しかし、故人との最後の場で失敗するのは避けたいものです。この記事では、葬儀で自信を持って話せるよう、挨拶をするタイミングや話した方が良い内容について紹介しています。
喪主になった時の挨拶
喪主になった時は、葬儀に参列してくださった方々に失礼がないよう慎重に言葉を選ぶ必要があります。特に告別式での挨拶は火葬前の大切なものとなるため、失敗は避けたいものです。
挨拶のタイミングも1回ではなく複数回求められるため、その場その場で適切な挨拶が出来るよう、よく心得ておきましょう。
葬儀の基本的な流れ
葬儀は基本的に以下のような流れで行われます。
- ご僧侶を迎える
- 受付
- 告別式
- 出棺
- 火葬
- 精進落とし
葬儀は故人との最後の別れの儀式です。喪主はこの葬儀で挨拶をする場面が多いので、出来るだけ葬儀の流れを把握して備えておいた方が良いでしょう。
喪主の挨拶のタイミング
喪主が挨拶をするタイミングは多岐に渡ります。まず挨拶が必要なのはご僧侶を迎えた時です。来てくださった僧侶に向けて挨拶をします。次に挨拶をするのは告別式での受付です。参列してくださった方々に感謝の気持ちを込めて挨拶をします。
参列者の焼香が終わった後にも挨拶をします。この時の挨拶は軽いものではなく、参列者や故人への感謝の気持ち、故人とのエピソードなども話します。長すぎず短すぎないよう、1分~3分以内に収めるのが基本です。
その他にも出棺の際や精進落としの前後、ご僧侶のお帰りの際にも挨拶が必要となります。また、葬儀の前日に行う通夜でも挨拶が必要です。通夜の受付や読経が終わった後、通夜振る舞いの前には挨拶が必要なので備えておきましょう。
どの挨拶でも参列者やご僧侶への感謝の気持ちを込めて挨拶をすることが最も大切です。
喪主の挨拶の例文・避けるべき言葉
葬儀中には『忌み言葉』と呼ばれる避けるべき表現方法があります。不吉な言葉や重ね言葉、生死に関する表現などがあります。例えば『4、9』といった数字や『しばしば』・『急死』などです。忌み言葉は言い換えて対応しましょう。
また、葬儀での挨拶は上手にすることよりも感謝の気持ちを伝えることが大切です。以下の例文を参考にしながら、自分の言葉で感謝の気持ちが伝えられるよう考えてみましょう。
『本日はお忙しいところご会葬くださり誠にありがとうございます。故人も大変喜んでいると存じます。晩年を豊かに過ごせたのは、ひとえに皆様のお力あってのことだと深く感謝しております。
これからも故人の生前同様、皆様からお力添えいただければ幸いです。本日は誠にありがとうございました。』
この例文に故人とのエピソードを交えるのも良いでしょう。暗記する必要はなく、紙を見ながらでも構いません。故人を偲びながら丁寧に挨拶しましょう。
弔辞の作法
弔辞の作法も知っておきましょう。故人との最後の別れの席では挨拶をするのは、喪主だけではなく近い関係にあった人すべてです。
弔辞は孫が読み上げる?
弔辞は故人との別れを惜しむ最後の挨拶です。読み上げるのが誰とは決まっていませんが、一般的には故人と親しい関係にあった人が、遺族から依頼されて読み上げます。例えば故人との古い友人やお世話になった上司、特別可愛がっていた後輩や恩師などです。
故人と親しい関係なら誰でも構わないのですが、最近では孫が読み上げることが多くなっているようです。多くの孫がいる場合は誰か1人が代表して読み上げる場合と、数名が出てきて弔辞を読む場合があります。
弔辞の例文、避けるべき言葉
弔辞は故人への呼びかけから始まり、故人とのエピソード、遺族への言葉、故人への言葉を盛り込んで考えます。ただ、この流れや言い回しは弔辞を読む人の年齢や故人との関係性などによって変わります。以下の例文は中学生や高校生の弔辞として参考にしてください。
『おばあちゃんへ。いまだにおばあちゃんがいなくなるなんて信じられません。いつも優しく話を聞いてくれるおばあちゃんが大好きでした。一緒に料理を作ったり、たくさんのことを教えてくれてありがとう。
もっと教えてもらいたかったけど、もう出来ないんだね。これからも料理の勉強頑張るから見守っていてください。さようなら。』
ここでも忌み言葉は避けて挨拶を考えましょう。また、『天国』『冥福』などの言葉は、入っている宗教によって使用してはいけない場合もあるので注意しましょう。『悲しい』『つらい』などの言葉も遺族の悲しみを煽ってしまうので出来るだけ避けた方が無難です。
献杯の作法
葬儀の後に行われる会食では飲み物を飲みますが、この時は乾杯ではなく献杯という言葉を使います。
献杯とは?
献杯とは故人に杯を傾けて敬意を表す葬儀での作法です。挨拶や献杯の音頭をいきなり頼まれることもあるので、あらかじめ心積もりしておきましょう。
献杯は乾杯のように杯を高く掲げたり、打ち合わせたり、大きな声で唱和したり、拍手をしたりはしません。静かに唱和し、唱和の後も拍手せず静かに食べ始めます。常に故人を偲ぶための儀式であることを意識しましょう。
献杯での挨拶の例文
献杯時の挨拶はそれほど多く語らず軽く済ませましょう。例えば故人の親族が挨拶する場合は以下のような挨拶の方法があります。
『故人の妹です。本日は足元の悪い中お集り頂き誠にありがとうございます。葬儀も皆さまのおかげで無事終えることができ、姉も満足していることでしょう。 今日は皆様と姉の思い出を語らいたく思います。 それでは皆様ご唱和ください。献杯。』
献杯の音頭を取る人は決まっていないため、立場や故人との関係性によって話す内容は変わります。例は一つの参考としてください。
まとめ
人生でそう何度も経験することはない葬儀ですが、挨拶のタイミングや避けるべき忌み言葉など、様々な制約や覚えておくべきことがあります。弔辞を頼む人や献杯の作法なども今のうちに確認しておきましょう。
また、挨拶をする場面は多々ありますが、最も大切なのは上手にすることではなく故人を悼むことです。参列頂いた方に感謝の気持ちを伝えるとともに、故人のことを偲んで心残りなく逝けるようにしてあげましょう。