故人を供養する葬儀には気を付けるべきポイントが様々ありますが、葬儀が終わった後にはどんな事をすればいいのでしょうか?参列者へのお礼や行政関係の手続き、四十九日のお供え物など、葬儀後に押さえておきたいポイントを徹底解説いたします。
葬儀終了直後にすることとは?
葬儀終了後、すぐにしなくてはならないのが帰宅後のお清めの塩と、頂いた香典の整理・管理です。それぞれ以下で詳しく解説します。
帰宅後お清めの塩をまく
お葬式に参列した際、会葬礼状と一緒に『お清めの塩』が配られる事があります。死の穢れを祓う清めの塩ですが、もともとは神道のみで行われてきた風習です。
ただ、日本では神仏習合の歴史があるために、主な宗教が仏教となった現在でも清めの塩が広く用いられています。
清めの塩をまくタイミングは、葬儀から帰ってきて『玄関をまたぐ前』です。足元に振りかけるだけでなく、正しくは『胸、背中、足元』の順番で3カ所に振りかけます。
単身者の方はご自身で振りかけても構いませんが、家族のいる方はできるだけ家族に振りかけてもらうようにしましょう。
香典の整理と管理を行う
葬儀後には頂いた香典の整理と管理をしましょう。これは『どこの誰がいくら包んで下さったのか』を明確にしておくことで、香典返しの額を間違えないようにするためです。
そのため香典の整理と管理には、『名前』・『住所』・『香典の金額』という3つの情報が重要になります。
まずは会葬帳をチェックしましょう。会葬帳には香典を包んだ方の名前と住所が書き込まれています。会葬帳の情報と香典袋の記名・香典の金額を照らし合わせ、正しい金額を記録しましょう。
香典返しは『半返し』と相場が決まっているので、記録した金額の半分を香典返しにあてます。
参列者などへのお礼は早めに
葬儀に参列して下さった方へのお礼は、なるべく早く済ませるのがマナーです。葬儀後に頂いた香典や供花、弔電についても同様ですので、しっかり対応するようにしましょう。
参列して下さった方へ葬儀後の挨拶状を出す
葬儀に参列された方に渡すお礼状(会葬礼状)とは別に、香典返しの際には『忌明けの挨拶状』を送るのがマナーです。
これは無事に忌が明けた事をお礼とともに述べるもので、一般的に忌明けの頃(四十九日の法要が終わる頃)に送ります。
仏式、神式、キリスト教式によって文面に多少の違いはありますが、葬儀・告別式においての心遣いへの感謝や、忌明けの法要を無事終えた事の報告は必ず述べるようにしましょう。
基本的にメールでの返信はNG
葬儀のお礼をメールで行うのは、基本的にマナー違反となります。メールで送ることは略式に当たるため、よほど近しい関係の方でない限りは手紙でお礼をするのが正しいマナーです。
やむを得ずメールでお礼を送る場合も、文面に略式のお礼である旨を明記するようにしましょう。
なお、葬儀のお礼を頂いた際には、手紙でもメールでも返信はNGです。これは不幸が繰り返されないようにとの配慮に当たるので、葬儀のお礼には返信をせず、気持ちだけ受け取るように心がけましょう。
お悔やみで頂いた葬儀後の手紙も早めに返信
葬儀当日に参加できなかった方から、後日香典や供花、弔電を頂くことがあります。この場合にも、お手紙でお礼をするのが正しいマナーです。お悔みの手紙や弔電を頂いた時には、なるべく早くお礼の返事をするようにしましょう。
お悔み状へのお礼の手紙には、時候などの前文挨拶は不要となります。故人の氏名の明記をはじめ、香典やお悔やみの言葉に対するお礼文、今後のお付き合いをお願いする一文などを記載するとよいでしょう。
また、お悔み状へのお礼の手紙には句読点を使わないのが長年の慣例とされてきましたが、近年ではあまり意識されなくなっています。
相続や行政関係の手続きにも気をつける
葬儀後の手続きには期限が設定されているものが多くあります。心身ともに疲弊している中で手続きをするのは大変なことですが、行政関係や保険会社への届け出は非常に大切なことです。いつ来るか分からない葬儀に備え、事前に把握しておくようにしましょう。
保険関係や死亡届などは早めに提出
葬儀後の手続きの中で、特に保険関係や死亡届などは提出の優先度が高いものです。以下に代表的なものを列挙します。
- 国民健康保険の脱退:14日以内
- 所得税準確定申告・納税:4ヶ月以内
- 相続税の申告・納税:10ヶ月以内
- 生命保険の死亡保険金請求:3年以内
それぞれ市役所や税務署、保険会社窓口などで手続きを済ませましょう。
名義変更や年金の請求なども注意が必要
相続確定後には、各種公共料金の名義を変更する必要があります。こちらは期日などは決まっていませんが、確定後すみやかに済ませるのが一般的です。
また、年金を受給している方が亡くなった場合には、『年金受給権者死亡届(報告書)』の提出も必要になります。国民年金なら14日以内、その他の年金の場合は10日以内に届け出をするようにしましょう。
四十九日までのお供え物は何がいい?
葬儀の後、位牌や遺骨は一旦自宅へと戻ります。位牌や遺骨は四十九日までは祭壇(後飾り、または中陰壇)に安置することになりますが、お供え物については何を供えるのがよいのでしょうか?
特に決まりはないが故人の好物がベスト
四十九日までのお供え物については、実はこれといった決まりがあるわけではありません。ご飯や焼き菓子、水菓子(果物)、生花などが一般的ですが、一番の供養になるのは故人の好きだったものです。
宗教的には魚や肉は避けるべきとされてはいますが、故人への供養という意味では、何をお供えしても特に問題はありません。
水と線香も一緒にお供えする
四十九日の忌明けまでは、水と線香も一緒にお供えするようにしましょう。特に線香は絶やすことなく焚いておくのが基本です。
古くから、線香などの良い香りは故人の食事とされているので、できれば1日3回、少なくとも1日1回は供える必要があります。
また、供えた水を交換する際は、なるべく流しではなく土に返すようにしましょう。これは『循環』という行為が命の輪廻と結びつき、故人の魂に良い結果をもたらすと言われているからです。
自宅へ来て下さる弔問客への応対方法は?
葬儀後には「遺族にどうしても弔意を伝えたい」という想いを持った弔問客が自宅に来て下さる事があります。こういった方々は積極的な気持ちを持って弔問して下さるのですから、まずは失礼に当たらない対応を心がけるようにしましょう。
来て下さった方へ感謝の気持ちを伝える
弔問客への対応には特に決まりはありません。一番大切なのは感謝の気持ちを伝える事です。葬儀後の手続きなどで疲れてしまっている場合もありますが、来て下さった弔問客が気持ちよく帰れるよう、心からの感謝の気持ちを述べるようにしましょう。
また、いつ弔問客が来られてもお線香をあげられるように準備しておくのも、大切な心掛けです。
小分けできるお菓子があるとベスト
弔問にあたっては香典を持参される方も多いので、そのお返しは事前に用意しておくようにしましょう。お返しには小分けの袋に入った和菓子・洋菓子がおすすめです。
相手方が持って帰りやすいだけではなく、袋入りのお菓子は賞味期限が長いものが多いので、急な訪問の場合にも安心して対応する事ができます。
まとめ
予期せぬ時に発生してしまうのが葬儀とその後の段取りです。葬儀後にやるべき事は予想以上に多いものですが、事前に下調べをしておけば段取り不足で慌てる事もなくなるでしょう。