葬儀で着用する服装には様々なマナーがありますが、ハンカチも例外ではありません。葬儀では涙や汗を拭くなど、他の人にハンカチを見られることもあるので注意しなければいけません。葬儀にふさわしい色や素材などハンカチに関するマナーを紹介します。
葬儀のハンカチは白がスタンダード
葬儀では喪服や靴は黒ですし、男性のネクタイも黒です。こういったことから、小物類なども黒が正式であるというイメージを持っている方もいるかもしれません。しかしハンカチに関して言えば、白が正式なマナーです。
なぜ白いハンカチなのかについてはいろいろな説があると言われています。一般的には、故人が最後のときに身に着けているのが白装束であること、昔から白装束で神事を行っていたことなどが理由としてよく挙げられています。
しかし、ハンカチは必ず白でなければならないわけではありません。白以外ではどのような色がOKなのでしょうか。
黒やグレーでも大丈夫
白以外で葬儀用のハンカチとしてメジャーな色は黒です。デパートなどの冠婚葬祭に関する売り場を見ても、黒いハンカチが葬儀用として多数販売されているのがわかります。
また、最近では黒以外にもグレーなどの落ち着いた色のハンカチを持参する人が増えてきました。袱紗(ふくさ)の色と合わせて薄い紫などを持つ人もいます。つまり葬儀用のハンカチには『白か黒、または地味な色』を選んでおけば大丈夫です。
男女に大きな違いはなし
葬儀で着用する服装については男女でいろいろなマナーがあり、それぞれ注意するポイントがあります。しかし、葬儀のハンカチのマナーとしては性別による大きな違いはありません。
男性でも女性でも葬儀には白、黒、またはグレーなど地味な色のハンカチを持参すればOKです。
もちろん葬儀用として販売されているハンカチの中には男性向け、女性向けのデザインがあるので、それぞれ合った物を使用してください。
女性の膝を隠すなら黒ハンカチを
葬儀場では正座したり椅子に座ったりしますが、女性はその際にハンカチを使って膝を隠すことがあります。この場合は白よりも黒のハンカチを使用するのがおすすめです。
白いハンカチを膝の上に広げてしまうと喪服の黒の中では目立ってしまいますが、黒であれば同じ色ですので違和感がありません。
女性の場合はこのような使い道もあるので、黒と白の2種類のハンカチを持っておくと使い分けができて便利です。黒のハンカチの方は少し大判のものにしておくと、膝にかける際に使いやすいでしょう。
柄はなく、無地のものを選ぶ
ハンカチには柄や刺繍が入っているものもありますが、葬儀用としては無地が正式なマナーです。
しかし必ずしも無地でなければならないわけではなく、無地以外でも葬儀用として使用できるハンカチもあります。ではどのような柄であればOKなのか、気を付けたいポイントを詳しく見ていきましょう。
ラメや光沢のあるものは避ける
白や黒などの地味な色で無地であっても避けた方が良いのが、ラメが入っているものや光沢のあるハンカチです。
これは基本的に葬儀では光るものはNGとされているためで、ラメやラインストーンなどが入ったハンカチはマナー違反となります。
葬儀で光るものがNGな理由はきらびやかな印象を与えてしまい、慶事を連想してしまうためです。お悔みの場である葬儀にふさわしい、落ち着いたものを選ぶよう心がけてください。
もちろんキャラクター入りもダメ
無地が基本ですのでもちろんプリント柄などはNGです。当然ですがキャラクター入りのハンカチも葬儀用としては使えません。
最近では大人向けに地味な色目のキャラクター商品も増えてきていますが、葬儀というフォーマルな場で使用するには不向きです。
控えめな刺繍や同色レースなら可
落ち着いた織柄や、ハンカチの端に控えめな刺繍が入っている程度であればOKです。ただし刺繍の色は地の色と同色のものを基本として、派手な色の刺繍がついているハンカチは避けましょう。
また、葬儀用ハンカチの中にはレースが施されているものも数多くあります。レースに関しては、ハンカチの地の色と同色のレースであれば葬儀に持参しても問題ありません。黒に白レースなど違う色の装飾のあるハンカチは基本的にはNGと考えてください。
ハンカチの素材にもマナーはある
葬儀用のハンカチとして気を付けなければいけないのは色や柄だけではありません。ハンカチにはいろいろな素材のものが販売されていますが、その中にも葬儀にふさわしいものとそうでないものがあります。
色や柄には気を付けていても、素材は見落としがちなところですので、NG素材のハンカチを選ばないように確認しておきましょう。
綿、麻、木綿がおすすめ
ハンカチの素材は、綿、麻、木綿のいずれかから選んでください。中でも特におすすめなのは吸水性の高い綿100%のハンカチです。
涙や汗を拭くためにはこれらの吸水性が高いハンカチがおすすめですが、どれもしわになりやすい素材ですので、当然ですが綺麗にアイロンをかけてたたんでおきましょう。
シルクやレーヨンは適していない
シルクはフォーマルな素材という印象が強いかもしれませんが、こと葬儀に関してはシルクのハンカチは避けるのが無難です。
これには理由が二つあります。一つは、シルクには光沢があるため葬儀にはふさわしくないため、もう一つは、水に弱いという特性があるためです。
また、レーヨンにも光沢があり吸水性がないため、シルクと同様に葬儀用のハンカチとしては適した素材ではありません。
カジュアルな印象になるタオル生地もNG
吸水性があり普段使いとして普及しているタオルハンカチですが、葬儀というフォーマルな場で使用するにはおすすめできません。白や黒など地味な色であっても、タオル生地はあくまでもカジュアルな素材です。
また、普通のハンカチよりも厚みがあるため、ポケットに入れて持参しづらいというデメリットもありますので、タオルハンカチは避けましょう。
夏場など暑い時期の葬儀では、汗をふくためにハンカチを使う場合もあります。タオル素材のハンカチを使いたいときは、葬儀用の白いハンカチとタオルハンカチの2枚持ちにし、タオルハンカチは人の目がない場所で使うなど工夫してください。
ハンカチはどこに入れておくのが適切か
葬儀に持参するハンカチ自体のマナーについて説明してきましたが、ハンカチを入れておく場所もどこでも良いわけではありません。男女それぞれどこに入れておくのが適切なのか見ていきましょう。
男性は胸ポケットには入れない
男性は基本的にフォーマルな場ではバッグを持たないため、喪服のポケットに入れることになります。ジャケットやズボンにいくつかポケットがありますが、胸ポケットにハンカチを入れるのは避けておくのが無難です。
慶事の際などは胸ポケットにポケットチーフをあしらうことがありますが、日本では弔事の際にはチーフを使う風習が根付いていません。
ハンカチが胸ポケットから見えてしまうと弔事におしゃれをしていると勘違いされる場合もあるので、ハンカチを入れるのは胸ポケット以外にしてください。
ジャケットでも良いのですが、ハンカチの出し入れの際にポケットのフラップが外に出てしまうかもしれません。それを避けるためにもズボンのポケットの方が安心です。
女性はバッグかポケットに
女性の場合、喪服のポケットにしまうかバッグの中に入れるかのどちらかです。バッグよりもポケットの方が、音を立てることなくスムーズにハンカチの出し入れができるのでおすすめです。
喪服のポケットがあまり大きくない場合にはバッグに入れ、必要に応じてバッグから出して手に持っておきましょう。
和服を着用している場合には、袂(たもと)に入れておくのが便利です。袂とは、袖の下の袋状の部分です。このとき、数珠と同じ袖ではなく逆側の袖に入れておくと、ハンカチを出した時に音をたててしまうことが避けられます。
和服の袂からは座った状態でも中のものが取りだしやすいので、上手に活用してください。
急な葬儀でハンカチの用意がないなら
葬儀は急に予定が入るものですので、自宅にちょうど良いハンカチがない場合もあるでしょう。
もしどうしても用意ができない場合はなるべく落ち着いた色のハンカチを持参し、葬儀場の中では使用しないという手もありますが、葬儀の席では何が起こるかわかりません。
葬儀は涙を誘う場でもありますので、できればマナーに沿ったハンカチを用意しておきたいものです。急ぎで葬儀用のハンカチが必要なときには次のような方法で入手することができます。
向かう途中の駅の売店で
駅の売店には様々な品物が販売されていますが、中には結婚式や葬儀に必要なネクタイやハンカチなどが置かれている売店もあります。
いつも利用している売店でも、冠婚葬祭に必要な品物は普段は意識しないので売っていることに気づいていないかもしれませんが、探してみると見つかることがあります。
特に大きな駅などでは置いてあることも多いですし、見当たらない場合でも店員さんに聞くと出してもらえることがありますので、確認してみましょう。
コンビニなら24時間購入できる
明日の葬儀のために夜中のうちに準備をしなければならない、などの場合に活用しやすいのがコンビニです。
コンビニではソックスや下着などの衣類が販売されていますが、同じコーナーにはハンカチが置かれているのが一般的です。冠婚葬祭に使用できるシンプルな白いハンカチもほとんどのコンビニで販売されています。
また黒ネクタイや黒い靴下、香典袋など葬儀で使用する品物も販売されており、24時間購入できますので、足りないものはまとめて購入しておきましょう。
100均でも調達できる
近所に100均がある場合には、コンビニと同様に葬儀に必要なものが調達できます。
白や黒など葬儀に使用できるシンプルなハンカチはもちろんのこと、数珠や袱紗など葬儀に使う品も販売されていることがあるので、普段から近くの100均の場所を確認しておくと便利です。
まとめ
葬儀で失礼がないようにするには、ハンカチなどの小物にもしっかり気を配ることが大切です。
葬儀は急に予定が入るものですので、いざというときに慌てないよう普段使いのハンカチとは別に葬儀用のハンカチを用意しておきましょう。白は汚れやすいので、自宅に予備があれば安心です。